【QC検定2級】分散分析(ANOVA)の解き方|手計算の手順と考え方をわかりやすく解説

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目次

はじめに

QC検定2級で多くの人がつまずくのが「分散分析(ANOVA)」です。

業務でも使っていても、表計算ソフトや統計ソフトに値を入力しているだけという人も多いのではないでしょうか。

  • 計算が複雑そう
  • 何をしているのかわからない
  • F値の意味が曖昧

私もそうでした。

しかし実際は、

「差が偶然かどうか」を判断しているだけ

この記事では、分散分析の解き方を手計算ベースでわかりやすく解説します。

QC検定では電卓使用するので、慣れてない方は使い方から覚えましょう。

やることは沢山あるのに時間はありません。

結論:分散分析は“差とバラつきの比較”

分散分析の本質はこれです

条件の差(群間)とバラつき(群内)を比べる

分散分析の基本式(ここが最重要)

F=群間分散群内分散F = \frac{\text{群間分散}}{\text{群内分散}}

用語の意味

  • 群間分散:条件ごとの平均の違い
  • 群内分散:データのバラつき

差がバラつきより大きければ有意差あり

実際に問題を解くとわかりやすいです。

分散分析:例題を解く

3つの条件で製品の強度を測定した。

  • A:52, 55, 54, 53, 56
  • B:48, 50, 47, 49, 51
  • C:60, 62, 61, 63, 64

このとき、分散分析を行い有意差を判定せよ。

※例えばここでの群の違いは温度であったり時間であったりします。

ステップ①:平均を求める

  • A平均:54
  • B平均:49
  • C平均:62
  • 全体平均:55
  • 各群のデータ数:5

ステップ②:平方和(SS)を求める

まず、平方和を求めてみましょう

■ 電卓の設定

QC検定2級では電卓を使用します。電卓の扱いに慣れてください。

計算前に電卓について以下を確認してください。

  • 小数点:Fモード(フロート)
  • 丸め設定:5/4(四捨五入)
  • ボタン:R・CM(メモリー呼び出し兼クリア)あり

メーカーによって多少違いますが、お手持ちの電卓の機能を確かめた上で使用してください。

■ 電卓:平均の計算

例:A群
52, 55, 54, 53, 56

電卓の入力順
52 + 55 + 54 + 53 + 56 ÷ 5 = 54 → G表示
Gが表示される

平均 = 54

電卓の入力順
CA(クリアオール)→ Gの表示、54を消去する
54 入力 → M+(メモリーに平均を保存) → M表示
C・CEボタンでクリア
Mが表示される

メモリーに平均(54)を保持

■電卓:群内平方和の計算

各データと平均の差の2乗を計算

(データ − 平均)²

電卓の入力順
52 - R・CMボタン → -2
× → =
→ 4(M Gが表示:Mには54、Gには4が入っている)
c・CEボタン でクリア
Mには54、Gには4が入っている(4が表示)

同様に繰り返す

電卓の入力順
55 - R・CM → 1 → × → = → 1
c・CE でクリア(M Gが表示:Mには54、Gには4+1=5が入る)
54 - R・CM → 0 → × → = → 0
c・CE でクリア(M Gが表示:Mには54、Gには4+1+0=5が入る)
53 - R・CM → -1 → × → = → 1
c・CE でクリア(M Gが表示:Mには54、Gには4+1+0+1=6が入る)
56 - R・CM → 2 → × → = → 4
c・CE でクリア(M Gが表示:Mには54、Gには4+1+0+1+4=10が入る)
GTに=ボタンの値が加算されている

電卓を使用した2乗の計算は慣れてください。

■ 電卓:合計(群内平方和)

GT機能により自動加算を呼び出す

電卓の入力順
GT → 10

A群の群内平方和 = 10

CAでクリアオール

次の群の平均→群内平方和の計算を進める

■ 電卓:操作のポイント(重要)

  • M+ → 記憶させる
  • R・CMボタン → 平均を呼び出す
  • × → = → 自乗計算
  • = → GTで合計確認

群内平方和(SSw:Within Sum of Squares)

各データのバラつき(同じ条件の中のバラつき(ノイズ)を測っている

  • A:52, 55, 54, 53, 56 → 10
  • B:48, 50, 47, 49, 51 → 10
  • C:60, 62, 61, 63, 64 → 10

合計 = 30

分散分析表の群内平方和に値を入れる

■ ANOVA表

要因平方和(SS)自由度(df)分散(V)F値
群間(Between)?(SS_Between)?(df1)?(V1=SS_Between/df1)
群内(Within)30(SS_Within)?(df2)?(V2=SS_Within/df2)
合計(Total)?(SS_total)?(df t)

群間平方和(SSb:Between Sum of Squares)

各平均と全体平均との差を見る(条件ごとの“平均の差”を測っている

(各群の平均 − 全体平均)² × データ数

  • A群:(54(A群平均)- 55(全体平均))² × 5(データ数) = 5
  • B群:(49(B群平均)- 55(全体平均))² × 5(データ数) = 180
  • C群:(62(C群平均)- 55(全体平均))² × 5(データ数) = 245

合計 =  430

群間平方和と群内平方和を足して 460

分散分析表に値を入れる

要因平方和(SS)自由度(df)分散(V)F値
群間(Between)430(SS_Between)?(df1)?((V1=SS_Between/df1)
群内(Within)30(SS_Within)?(df2)?(V2=SS_Within/df2)
合計(Total)460(SS_total)?(df t)

ステップ③:自由度(df)

  • 群間(df1):3 – 1 = 2 (グループ数 − 1)
  • 群内(df2):15 – 3 = 12 (総データ数 − グループ数)
  • 合計(df t):15 – 1 = 14 (総データ数 − 1)

分散分析表にそれぞれ自由度を入れる

要因平方和(SS)自由度(df)分散(V)F値
群間(Between)430(SS_Between)2(df1)?(V1=SS_Between/df1)
群内(Within)30(SS_Within)12(df2)?(V2=SS_Within/df1)
合計(Total)460(SS_total)14(df t)

ステップ④:分散(V:Variance)

V1=SSbetweendf1群間分散V1 = \frac{\text{SSbetween}}{\text{df1}}
  • 群間分散:430÷ 2 = 215(かなり大きい)
V2=SSwithindf2群内分散V2 = \frac{\text{SSwithin}}{\text{df2}}
  • 群内分散:30÷ 12 = 2.5(かなり小さい)

※分散分析では平均平方(MS:Mean Square)を用いるが、QC検定ではこれを分散(V)と表記する場合がある。本記事では以降、QC検定に合わせてVで表記する。

これまで計算した結果を、分散分析表にまとめます。

分散分析表

要因平方和(SS)自由度(df)分散(V)F値
群間(Between)430(SS_Between)2(df1)215(V1)(V1/V2)
群内(Within)30(SS_Within)12(df2)2.5(V2)
合計(Total)460(SS_total)14(df t)

自由度(df、QC検定ではΦと表記されることがあります)

補足

QC検定表記統計表記意味
SaSS_between群間平方和(要因の効果)
SeSS_within群内平方和(誤差)
StSS_total全体平方和

QC系の問題表記では、よくSa , Se , St などとなりますが、下記の用語によるものと思います。

  • a:要因(factor a)
  • e:誤差(error)
  • t:全体(total)

ステップ⑤:F値

F=V1V2F = \frac{V_1}{V_2}

ステップ④の値をそれぞれ式に入れて、

F=2152.5=86F = \frac{215}{2.5} = 86
要因平方和(SS)自由度(df)分散(V)F値
群間(Between)430(SS_Between)2(df1)215(V1)86(V1/V2)
群内(Within)30(SS_Within)12(df2)2.5(V2)
合計(Total)460(SS_total)14(df t)

ステップ⑥:判定

  • F値:86
  • F(2,12,0.05) ≈ 3.89

※F分布表から自由度(df1, df2)に対応する臨界値(有意点)を求めて判定する。QC検定では、この表の読み取りも重要なポイントとなる。

86 > 3.89 → 有意差あり

結論

条件によって強度に差がある

(差がノイズを完全に上回っている)

実務での意味

分散分析は単なる計算ではありません。

改善すべき原因を特定するためのツール

例:

  • 温度に有意差あり
    → 温度管理を見直す

まとめ

  • 分散分析は差とバラつきの比較
  • 分散分析表を適宜埋める
  • F値で有意差を判断
  • 実務では原因特定に使う

分散分析は流れの中で使うと理解が深まります

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この記事を書いた人

いくつかの製造業を経験し、工場勤務を続ける中でスキルアップの重要性を実感。独学で複数の国家資格を取得してきました。
保有資格:第二種電気工事士、2級ボイラー技士、危険物取扱者乙種第4類、品質管理検定2級(QC検定2級)、食品表示検定中級。
現場経験を活かし、資格取得を目指す方へ実体験に基づいた学習方法やキャリア形成のヒントを発信しています。

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