トラブル発生時のよくある対応
- 手順書改訂
- チェック項目追加
- ダブルチェック導入
- 承認者追加
管理者としては実施しやすい。しかし、根本原因を解決していない場合が多い。
ルールは増えるが減らない
現場でよく起こる現象
2015年
10個のルール
↓
2020年
30個のルール
↓
2025年
50個のルール
誰も全体を把握できなくなる。
結果として
- 守れない
- 覚えられない
- 教育できない
状態になる。
人間はルールが増えるとミスをする
人間の注意力には限界がある。
例えば
ケースA:確認項目3個
- 品番
- 数量
- 外観
ケースB:確認項目20個
- 品番
- 数量
- 外観
- ロット
- 時間
- 記録
- 承認
・・・
一見安全そうに見えるが実際には重要な項目への注意が分散する。
なぜなぜ分析が不足している
ルール増加の原因は真因分析不足であることが多い。
例えば、
製品を逆向きに組付けた
↓
なぜ?
作業者が間違えた
↓
ルール追加
「向きを確認すること」
これは真因ではない。
さらに掘ると
- 左右対称で分かりにくい
- 治具がない
- ポカヨケがない
かもしれない。
改善すべきは人ではなく仕組みである。
現場改善はルールではなく仕組みを変える
良い改善
- ポカヨケ
- 治具改善
- レイアウト変更
- 自動検知
悪い改善
- 注意喚起
- 教育強化
- 張り紙追加
- チェック追加
もちろん必要な場合もあるが、最優先ではない。
ルール増加が生む隠れたコスト
ルールが増えると
- 教育時間増加
- 引継ぎ時間増加
- 監査時間増加
- 書類作成時間増加
が発生する。結果として現場の負担が増え、改善活動に使える時間が減る。
現場のルールが増える要因:取引先の要求
- 社内で増える
- 取引先(顧客)から増やされる
- 法規制で増える
の3パターンがあります。特に工場では②の影響が大きいと思います(別に恨んでるわけではありません)。
よくある例
不良が発生すると、
取引先から
- 作業記録を残してください
- ダブルチェックしてください
- 写真を撮ってください
- 検査項目を増やしてください
- 承認印を追加してください
と言われることがあります。
すると、
不良発生
↓
顧客クレーム
↓
対策要求
↓
チェックシート追加
↓
記録追加
↓
ルール追加
となります。
取引先も悪気があるわけではない
ここが難しいところです。
顧客側も「再発防止をしてください」と言われているだけです。
だから、最も簡単で説明しやすい
- チェック追加
- 記録追加
- 教育実施
を要求しがちです。
現場は苦しくなる
例えば、10年前
- 検査項目10個
だったものが、顧客要求の積み重ねで
- 検査項目20個
- 記録用紙3枚追加
- 写真撮影追加
になることがあります。
すると、本来の作業時間より記録時間の方が増えてしまうこともあります。
顧客要求が増えると・・・・
検査工程や記録工程が肥大化し、そこがボトルネックになることがあります。
例えば
加工工程 100個/時間
組立工程 100個/時間
検査工程 60個/時間
顧客要求で検査項目を増やした結果、検査工程だけ遅くなり、工場全体が60個/時間しか作れなくなる。
すると、「品質向上のためのルール追加」が、逆に
- 納期悪化
- 残業増加
- コスト増加
を招くことがあります。
「品質のために増やした検査や記録が、生産性を下げている」
そんなことになっていないか・・・・。
本当に改善すべき場所はどこか
ここで重要になるのが
ボトルネックの考え方
である。すべての問題に対応しようとするとルールだけが増える。しかし工場全体の生産性を決めているのは最も能力の低い工程である。改善活動は「一番重要な場所」に集中しなければならない。
まとめ
- ルール追加は簡単な対策
- ルールは増えるが減らない
- 人間の注意力には限界がある
- 真因分析不足がルール増加を招く
- 改善は人ではなく仕組みを変える
- 重要なのはボトルネックへの集中
最後に
「現場では多くの改善活動が行われています。しかし、すべてを改善しても成果につながるとは限りません。工場全体の生産性を決めるのは『ボトルネック工程』です。次の記事では、現場改善の効果を最大化するボトルネック理論(TOC)について解説します。」





